君たちはどう生きるか 見たよ
冒頭から精密な芝居と大量の人間の動きに圧倒された。どちらも宮﨑駿監督作らしさ(と私が思っているもの)を存分に発揮していていきなり泣いてしまった。今までも丁寧に真剣にアニメを見てきたつもりだったのに今日この瞬間が今までで一番集中してアニメを見ているぞと確信させられた。
「お父様の工場」から少々強引に水滴型のキャノピーが家に運び込まれる様が描写されていたのを何度も思い返して咀嚼した。人殺しの道具が居間にいくつも並んでいるのを定期的に見せつけられている。これは明らかに私たちへのリマインダーだった。
それからはずっと好きなアニメーションが永遠に続いて夢見心地だった。母性へのねちっこい執着が気持ち悪いなと思ってもアニメーションを見ることの享楽の方が勝った。2時間で終わるなんて勿体ないなと考えていたらこのアニメは永遠じゃないですよって冷や水を浴びせられた。後継者なんて要らないし、私たちはアニメばっかり見てる場合じゃないよ。現実から都合のいい借景をして楽しみの糧にするのはおしまいです。咎人である私たちにもこの先の生がありますから。
私は不細工な石の積み木を組み立てて世界を終わらせてしまうインコの王だった。君たちはどう生きるか、もう宮﨑駿の話をせずに誰の継承でも追憶でもないことをして生きる、完!
『水星の魔女』鏡の演出について
『水星の魔女』良かったね……
2話なのでOP映像が流れました。
公式ノンクレOP映像です。
本編同様、手描きMSがとにかくカッコいい。
エアリアルがミオリネを飛び越えるカットで画面に再接近した機体がゴリゴリの太線になってて萌えました。
さて、本題の鏡ですが、OP映像には鏡面が頻繁に写っていました。中でも印象的なのは二つ、自動ドアのガラスに映り込むカットと最後のタブレットを操作するカットでしょう。
自動ドアには最初スレッタが映っていますがドアを開けるとスレッタの顔が消え、ミオリネと鉢合わせます。表情はあんまり浮かないお顔。このシーン、なんか見覚えないですか?
第一話、ミオリネとのファーストコンタクトです。
このシーンでミオリネは最初、ノーマルスーツのバイザーを閉じています。漂流してたので……そのバイザーにスレッタの顔が映り込んでいます。ミオリネがバイザーを開いて顔を見せる……という正にOP映像そのままのカットです。
OP映像でも別々に登校していたスレッタとミオリネが鉢合わせるシーンになっているので、この演出を重ねたのはかなり意図的だと思います。OP映像は複雑な立場のスレッタとミリオネの境遇を重ねるような作りになっており、ここの鏡もその一つでしょう。他人の中に自分を見いだすことと、自分の中に他人を見いだすことの暗喩だと思う。鏡面を使う演出が好物なので今後も演出アイテムとして使って欲しいです。ボディに黒い透明なパーツがあるので、あれでなんかやってないかな。
もう一つは最後のカット、エリクトが指で画面を触れるとモニターが落ち、モニターにエリクトが映る。
まだ良く分からないけど、絶対に何かを狙ってると思う。あとタブレットで配信見るとこのシーン見え方がすごいリアル。そのあと暗転しないところとか、視聴者の顔映らんように気遣ってるのかなと思った。
追記
全部ミリオネになっていたのでミオリネに直しました。予測変換のせいだよ。