君たちはどう生きるか 見たよ

冒頭から精密な芝居と大量の人間の動きに圧倒された。どちらも宮﨑駿監督作らしさ(と私が思っているもの)を存分に発揮していていきなり泣いてしまった。今までも丁寧に真剣にアニメを見てきたつもりだったのに今日この瞬間が今までで一番集中してアニメを見ているぞと確信させられた。

 

「お父様の工場」から少々強引に水滴型のキャノピーが家に運び込まれる様が描写されていたのを何度も思い返して咀嚼した。人殺しの道具が居間にいくつも並んでいるのを定期的に見せつけられている。これは明らかに私たちへのリマインダーだった。

 

それからはずっと好きなアニメーションが永遠に続いて夢見心地だった。母性へのねちっこい執着が気持ち悪いなと思ってもアニメーションを見ることの享楽の方が勝った。2時間で終わるなんて勿体ないなと考えていたらこのアニメは永遠じゃないですよって冷や水を浴びせられた。後継者なんて要らないし、私たちはアニメばっかり見てる場合じゃないよ。現実から都合のいい借景をして楽しみの糧にするのはおしまいです。咎人である私たちにもこの先の生がありますから。

 

私は不細工な石の積み木を組み立てて世界を終わらせてしまうインコの王だった。君たちはどう生きるか、もう宮﨑駿の話をせずに誰の継承でも追憶でもないことをして生きる、完!